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四十肩と五十肩の違いとは?夜間の痛みに効く対処法と原因別の対策!

肩がズキッと痛んで目が覚めた…そんな経験はありませんか。

日中はなんともなかったのに、夜になると急に痛みが強まる「夜間痛」は、四十肩の典型的な症状のひとつです。

放っておくと眠れない日が続き、生活の質まで下がってしまうこともあります。

この記事では、夜の肩の痛みを少しでもラクにするための対処法を、やさしく、わかりやすく解説しています。

すぐに試せるセルフケアや眠る姿勢の工夫、病院を受診すべきタイミングなど、今日から役立つ情報が詰まっています。

四十肩と向き合いながら、安心して夜を迎えるヒントを見つけてみませんか。

夜に肩がズキッと痛むのはなぜ?

夜だけ痛みが強くなる理由

夜間に肩の痛みが増すのは、血流や筋肉の緊張、姿勢の影響が重なるためです。

日中は肩関節を動かすことで血行が保たれますが、夜になると体温が下がり血流も滞りがちになります。

また、寝る姿勢によって肩に圧力がかかったり、肩の周囲の組織が引き伸ばされることが刺激となり、痛みを感じやすくなります。

さらに、日中の肩の使い過ぎによる疲労が蓄積し、夜に痛みとして現れることも少なくありません。

こうした複合的な要因によって、夜間の痛みが強まる傾向にあります。

痛みのタイプをかんたん判別(ズキズキ/ピリッ/重だるい)

痛みの感じ方にはいくつかの種類があり、状態を把握する手がかりになります。

「ズキズキする痛み」は、肩関節周囲炎の炎症が強い初期段階に多く、夜間痛を伴いやすい傾向があります。

「ピリッと刺すような痛み」は神経の圧迫や滑液包の刺激が原因の可能性があり、急な動きや体勢の変化で誘発されます。

「重だるい痛み」は、慢性的な筋肉のこわばりや関節の拘縮が背景にあり、可動域の低下と関連しています。

それぞれの痛みの性質を知ることで、適切な対処やセルフケアの方向性が見えてきます。

四十肩の流れを一目で(痛い時期→固まる時期→動く時期)

四十肩(肩関節周囲炎)は自然経過として「炎症期」「拘縮期」「回復期」の3段階に分かれます。

最初の炎症期はズキズキとした強い痛みが現れ、特に夜間痛が顕著になります。

次の拘縮期では炎症が落ち着く一方で、関節が硬くなり可動域が制限されます。

最後の回復期では痛みが軽減し、動かせる範囲が徐々に広がっていきます。

それぞれの時期で求められる対処法が異なるため、現在の状態を見極めることが重要です。

放っておくとどうなる?回復までの目安

四十肩を放置すると、拘縮が進行し日常動作に大きな支障をきたす可能性があります。

例えば、髪を結ぶ・上着を着る・棚の物を取るといった基本動作が困難になることもあります。

自然治癒する場合もありますが、完治には半年〜1年以上かかることもあります。

特に夜間痛が続く期間が長くなると、眠りの質の低下から全身疲労や自律神経の乱れにもつながりかねません。

早期に適切な対応を取ることで、回復を早めるとともに悪化を防ぐことができます。

今夜ラクになるためのコツ

寝る前15分の整え方

夜間痛を和らげるためには、寝る前に肩まわりの状態を整えておくことが効果的です。

急に布団に入ると肩の血流が滞りやすくなるため、あらかじめ温めたり、軽い動きを加えることで負担を減らす準備ができます。

短時間でも構いませんので、就寝前の15分で「血行を促し、緊張をゆるめる」時間を作ると、痛みの軽減につながります。

無理なストレッチや強い刺激ではなく、あくまでリラックスを目的としたケアが重要です。

寝る前の整え方ひとつで、夜間の痛みの程度や眠りの質が変わってくることがあります。

温めと冷やすの使い分け

肩の痛みに対する「温め」と「冷やし」は、状態によって使い分けが必要です。

ズキズキと炎症が強い時期には冷却が効果的で、アイスノンなどをタオル越しに10〜15分当てると炎症が落ち着きます。

一方、慢性的な重だるさや筋肉のこわばりがある場合は、温めによって血流が促され、緊張がゆるみやすくなります。

温めには湯たんぽやホットパックが便利で、就寝前の使用がおすすめです。

状態の見極めが難しい場合は、痛みが和らぐ方を選び、反応を見ながら慎重に行いましょう。

痛みを悪化させない動かし方の範囲

夜の痛みを悪化させないためには、肩をどの程度動かしてよいかを知ることが大切です。

無理に肩を大きく回すと、炎症がぶり返し夜間痛を悪化させる可能性があります。

「痛みが出ない範囲での小さな動き」が基本で、例えば肩を前後に軽くゆらす、腕を机の上で滑らせるように動かすなどが適しています。

動かした後にジンジンするような痛みが出る場合は、負荷が強すぎたサインです。

眠る前は特に、刺激を与えすぎず、やさしい動きを意識することが回復への近道になります。

ベッド周りの工夫

夜間痛を軽減するには、寝具や姿勢の工夫も重要です。

肩が下に沈み込むと関節に圧がかかり、痛みを引き起こしやすくなります。

また、無意識のうちに腕を伸ばしすぎて関節を引っ張る姿勢も、悪化の一因となります。

ベッドの硬さや枕の高さ、クッションの位置などを見直すことで、肩への負担を減らすことが可能です。

毎日の睡眠環境を少しずつ調整することで、夜間痛の頻度や強さが変わるケースも多くみられます。

横向き/仰向けの手と腕の置き方

横向きで寝る場合、痛い側を下にしないことが基本です。

痛い側が上になるようにし、その腕を前方のクッションや抱き枕にのせて支えると、関節への圧力が軽減されます。

仰向けの場合は、肘が身体よりもやや外側になるようタオルやクッションで腕を支えましょう。

腕が垂れ下がると肩が引っ張られ痛みが出るため、自然な高さを保つ工夫が必要です。

姿勢を少し変えるだけでも、肩への負担は大きく変わります。

タオルやクッションの高さ調整

痛みを軽減するには、腕の高さを適切に保つことが重要です。

タオルを数枚重ねて腕の下に敷くと、高さを自由に調整できます。

高すぎると肩がすくみ、低すぎると関節が引っ張られて痛みが出るため、痛みが最も少ない高さを探ってください。

ベッドの中で試行錯誤することで、自分に合った「安定感のあるポジション」が見つかることがあります。

腕の位置が安定すると、寝返り時の痛みも起きにくくなります。

夜中に痛みで目が覚めたときの対処

夜中に肩の痛みで目が覚めると、眠気と痛みで焦りを感じがちです。

無理に動かそうとすると痛みが強まり、かえって睡眠が妨げられる恐れがあります。

まずは深呼吸をし、肩や全身の力を抜くことを意識しましょう。

その上で、軽い動きで血流を促すことが痛みの緩和につながります。

再び眠りに戻るためにも、刺激を最小限に抑える対応が重要です。

起き上がる前の小さなゆらし運動

痛みで目が覚めた場合、すぐに起き上がるのではなく、まずは布団の中で小さな動きを加えることが有効です。

肩をすくめて力を抜く動作や、手首を軽く回すなど、痛みのない範囲でゆらすように動かします。

これにより筋肉の緊張がゆるみ、血行が促進されて肩のこわばりが和らぎます。

無理をせず、あくまで「心地よい」と感じる程度の動きにとどめてください。

数分間のゆらし運動だけでも、痛みが引いてくる場合があります。

軽いストレッチにするか休むかの目安

深夜の痛みに対して、動かすべきか安静にすべきか迷うこともあります。

基本的には、動かして「楽になる」と感じた場合は軽いストレッチを続け、痛みが増すようであればすぐに中止しましょう。

軽く腕を前後にゆらす、肩甲骨を寄せるような動きは、痛みの軽減に役立つことがあります。

反対に、ストレッチでジンジンする痛みが出る場合は、炎症が強い状態の可能性があるため安静が優先です。

自分の身体の反応を丁寧に観察し、無理のない選択を心がけてください。

昼間の過ごし方で夜の痛みを減らす

肩にやさしい姿勢と動きのコツ

昼間の姿勢や動きは、夜間の肩の痛みに大きく影響します。

長時間同じ姿勢でいると肩周囲の血流が悪くなり、筋肉や関節に緊張がたまります。

特に猫背や前かがみ姿勢は肩甲骨の動きを制限し、肩関節に負担をかけやすくなります。

できるだけ背筋を伸ばし、肩の力を抜いたリラックスした姿勢を意識することが大切です。

また、1時間に1回は立ち上がって軽く肩を動かすなど、こまめな動作で血行を促すことも効果的です。

仕事・家事・車運転での腕の置き場

日常の動作の中で「腕の置き方」は肩の痛みに直結する要素です。

仕事中に肘が浮いた状態や、家事で腕を高く上げる動作が続くと、肩関節への負担が大きくなります。

パソコン作業では、肘が机や肘置きにしっかり乗る高さに調整し、腕がぶら下がらないように工夫しましょう。

車の運転では、シート位置を調整し、ハンドルを持つ腕が自然な高さ・角度になるように心がけてください。

家事では肩より上に手を上げる作業をなるべく避け、踏み台などを使って動作の高さを調整すると負担が軽減します。

痛み日記で原因を見つける

痛みが強くなるタイミングや行動を記録することで、悪化の原因や改善のヒントが見えてきます。

「どんな姿勢の後に痛くなるか」「夜間痛が出た日の日中の行動はどうだったか」など、気づいたことを簡単にメモするだけでも効果的です。

継続することで、痛みのパターンや回復傾向が把握でき、適切な対策を立てやすくなります。

また、受診時に医師へ説明する材料としても役立ち、診断の精度向上にもつながります。

一日の終わりに数分、記録する習慣を取り入れてみてください。

記録のポイント

痛み日記を続けるには、記録内容をシンプルにすることが継続のコツです。

記録項目としておすすめなのは「日付・痛みの強さ・痛みが出た時間帯・その前に行った動作・工夫したこと・夜の睡眠状況」などです。

痛みの強さは10点満点でつけるなど、数字化しておくと変化が分かりやすくなります。

また、「寝る前に温めたら痛みが減った」など、小さな発見も書き残しておくと、今後の対処に活かせます。

毎日でなくても、痛みが強かった日だけでも記録すると有効です。

悪化しやすい要因

痛み日記をつけていくと、痛みが強まるきっかけとなる要因が見えてきます。

たとえば「寒い日に痛みが強まった」「長時間スマホを操作した後に痛みが出た」など、日常に潜む負担を特定できる場合があります。

こうした要因が分かれば、同じ状況を繰り返さないよう事前に対策が可能です。

また、痛みが出る前兆として「肩が重く感じる」「腕を挙げにくい」などのサインに気づくこともあります。

悪化を未然に防ぐためにも、日記を通して自分の体と向き合う習慣を持つことが大切です。

自分で続けるケアの基本

無理なくできる可動域の順番と回数目安

四十肩のケアでは、無理をせず徐々に可動域を広げていくことが大切です。

急激に動かすと炎症が悪化することがあるため、「痛みが出ない範囲」で「少しずつ」進めるのが基本になります。

動かす順番としては、まずは前後方向→横方向→回旋(回す動き)というように、負担の少ない動きから始めましょう。

1日に1〜2回、各動作を5〜10回ずつ、痛みが出ない範囲で行うのが目安です。

継続することで、関節まわりの組織がほぐれ、少しずつ日常生活の動作が楽になっていきます。

ペンデュラム/机すべり/壁歩きのやり方

可動域を広げる運動には、痛みが少なく効果的な方法がいくつかあります。

「ペンデュラム運動」は、体を前に傾けて腕をだらりと下げ、小さく前後や左右に振る方法で、肩に力を入れずに動かせます。

「机すべり」は、机の上に腕を置き、前方に滑らせることで肩関節の前方可動域を促進できます。

「壁歩き」は、壁に手をついて、指を少しずつ上に歩かせるようにして肩を上げる動きで、無理なく高さを調整できます。

いずれの運動も、痛みが出たらすぐに中止し、痛みのない範囲で行うことがポイントです。

痛み点数を使った「ここでやめる」ライン

セルフケアで最も重要なのは「やりすぎない」ことです。

その判断基準として有効なのが、10点満点の「痛み点数」で自分の感覚を数値化する方法です。

たとえば、0が無痛、10が我慢できない痛みとし、運動中に「4〜5点以上」になったら中止のサインと考えましょう。

痛みが少しある「1〜2点」であれば、続けて構いませんが、終わったあとに痛みが長く残るようなら運動量を見直す必要があります。

無理をしない範囲で、継続することが最も効果につながります。

市販の痛み止めを使うときのコツ

市販の痛み止めは、夜間痛や日中のつらさを和らげる助けになります。

ただし、使い方を誤ると症状の把握が難しくなったり、胃腸への負担が出ることもあるため注意が必要です。

一時的な緩和を目的としながら、無理な動きを避けて炎症を抑えるという目的で使用するのが基本です。

常用する前には、薬剤師や医師に相談し、自分の体質や持病との相性を確認しておきましょう。

補助的な手段として上手に活用することがポイントです。

使うタイミング(就寝前・活動前)

痛み止めは「痛みが出る前」に使うことで効果を発揮しやすくなります。

特に夜間痛が強い方は、就寝の30分〜1時間前に内服することで、眠りやすくなることがあります。

また、仕事や家事など肩を使う予定がある場合は、活動前に服用することで動作をスムーズに行えるようになります。

1日の使用回数や間隔を守ることも重要で、決められた時間を空けるようにしましょう。

服用後は痛みが和らいでいても、無理な動きは控えるのが原則です。

塗り薬と飲み薬の違い

肩の痛みに使われる薬には「塗り薬」と「飲み薬」がありますが、それぞれの特性を理解して使い分けることが大切です。

塗り薬は、患部の皮膚から直接吸収され、局所的な炎症や痛みに作用します。

熱感があるときは冷感タイプ、こわばりが強いときは温感タイプを選ぶと効果的です。

飲み薬は、体内から炎症を抑える作用があり、全身の症状や夜間痛に対応しやすい特徴があります。

どちらを選ぶかは痛みの強さや状態によって異なりますので、使い分けや併用のタイミングを調整しながら取り入れましょう。

眠りの質を上げる習慣

四十肩による夜間痛で眠れないと、疲労が蓄積して回復が遅れることがあります。

そのため、眠りの質を高めるための生活習慣を整えることが、痛みの緩和にもつながります。

寝る前のスマホ使用を控え、ぬるめの入浴で身体を温める、リラックスできる音楽や照明に変えるなどの工夫が効果的です。

また、就寝前に痛み止めや温罨法を取り入れることで、入眠のしやすさが改善されます。

肩の痛みと睡眠環境の関係に目を向けることで、身体全体の回復力が高まる可能性があります。

サポーターやテーピングの注意点

肩用のサポーターやテーピングは、関節の安定性を補助し、動作時の不安感を軽減する目的で使われます。

ただし、締めすぎると血行が妨げられ、かえって痛みが悪化することもあるため注意が必要です。

サポーターは就寝時には外すか、柔らかく通気性のあるタイプを選ぶとよいでしょう。

テーピングは正しい方法で貼らないと効果が出ないため、最初は理学療法士や整骨院などで教えてもらうことをおすすめします。

いずれも「補助的なサポート」として活用し、根本的な治療や運動療法と組み合わせて使うことが大切です。

受診が必要か見きわめる

しびれ・力が入らない・発熱がある

肩の痛みと同時に、腕や手に「しびれ」や「力が入りにくい」感覚がある場合は注意が必要です。

これらの症状は、単なる肩関節の炎症ではなく、神経や血管が関与している可能性が考えられます。

また、肩の痛みに加えて発熱を伴う場合、関節やその周囲の組織に感染性の炎症が起きていることも否定できません。

日常的な四十肩の範囲を超える可能性があるため、これらの症状が見られた際は早めの整形外科受診を検討しましょう。

我慢して様子を見るのではなく、身体からの異常サインとして捉えることが大切です。

夜間痛が2〜3週間続いて良くならない

軽い四十肩であれば、セルフケアや休養で痛みが徐々に和らいでいくのが一般的です。

しかし、夜間の痛みが2〜3週間以上続き、睡眠が妨げられる状態が改善されない場合は、早めの診察が望まれます。

特に、痛みが強くなる一方だったり、可動域の制限が進んでいるようであれば、炎症が広がっている可能性もあります。

慢性化を防ぐためにも、専門的な評価を受けることで、適切な治療方針が立てやすくなります。

「まだ我慢できる」ではなく、「早く良くする」ための受診という意識が大切です。

ケガの後に強い痛みや動かしづらさが出た

転倒やぶつけた覚えがある場合、その後に強い痛みや可動制限が現れたときは、単なる四十肩ではない可能性があります。

肩の腱(腱板)や靭帯の損傷、骨折、脱臼などが隠れているケースもあるため、整形外科での画像検査が必要です。

特に、動かそうとすると鋭い痛みが走る、腕が全く上がらないといった症状は、早期の診断が求められます。

放置すると組織の回復が遅れたり、機能障害が残るリスクもあるため、少しでも不安があれば医療機関に相談しましょう。

受傷の直後でなくても、痛みが続くようであれば必ず評価を受けるべきです。

持病(糖尿病・甲状腺)のある人は要注意

糖尿病や甲状腺疾患を持っている方は、四十肩の発症リスクが高いとされており、重症化や回復の遅れがみられることがあります。

血糖やホルモンバランスが関節周囲の組織に影響を及ぼし、炎症や拘縮が強くなる傾向があるためです。

そのため、持病がある方で肩の痛みが現れた場合は、「単なる加齢」と見なさず、整形外科や内科と連携して対応することが望まれます。

自己判断で放置せず、主治医に相談の上でリハビリや投薬方針を決めていくことで、回復までの時間を短縮できる可能性があります。

特に夜間痛が強い場合は、積極的な受診がすすめられます。

病院でできることを知っておく

画像検査で分かること/分からないこと

整形外科を受診すると、最初に行われるのがレントゲンや超音波、MRIなどの画像検査です。

画像検査では、骨の変形や関節の隙間、腱板の断裂の有無、滑液包の炎症など、構造的な異常を確認することができます。

一方で、痛みの強さや肩を動かしたときの違和感といった“機能面”は画像では判断できません。

つまり、「異常が映らない=異常なし」ではなく、医師の触診や問診とあわせて総合的に評価する必要があります。

画像検査は原因特定の一助にはなりますが、最終的な診断は症状の経過や身体の反応も含めて行われます。

注射治療の選択肢(肩の外・関節の中)

夜間痛が強く、日常生活に支障をきたしている場合、注射による治療が検討されることがあります。

「肩の外側(皮下)」に打つタイプと、「関節の中(関節腔内)」に打つタイプがあり、目的によって使い分けられます。

皮下への注射は、炎症の強い部位に直接アプローチでき、即効性のある痛み緩和が期待されます。

関節腔内注射は、関節内の炎症や滑液の異常に対応し、可動域の改善を目指すものです。

いずれも医師の判断のもと、症状や回復段階に応じて選ばれます。

水を入れて固さを和らげる治療の位置づけ

拘縮が進んだ肩関節には、「水を入れる治療(関節授動術・関節拡張注射)」が用いられることがあります。

これは関節内に生理食塩水やステロイドを注入し、癒着した関節包を物理的に広げることで可動域の改善を促す方法です。

痛みの軽減に加えて、リハビリ効果の出やすい状態をつくることが目的です。

注射単体で完治するものではないため、施術後はすぐにリハビリや運動療法を併用することが勧められます。

回復期に入っても可動域制限が残る場合の選択肢として検討されます。

リハビリの進め方(痛い時期と回復期での違い)

四十肩におけるリハビリは、時期によって内容が大きく異なります。

痛みの強い初期段階では、肩への負担を避ける目的で、他の部位の運動や姿勢の調整から始めます。

痛みが軽減してくると、拘縮を防ぐための軽い可動域訓練やストレッチが導入され、徐々に筋力トレーニングへと進みます。

無理に進めると炎症が悪化するため、担当の理学療法士と相談しながら、その時点で最適な内容を選ぶことが大切です。

自己流ではなく、段階に応じたプログラムに沿って進めることで、安全かつ効果的な回復が期待できます。

鍼や手技などを受けるときの注意点

整骨院や鍼灸院などで行われる施術も、肩の緊張を和らげる一手段として用いられることがあります。

鍼灸は血行促進や筋肉の緩和に効果があるとされ、夜間痛が強い時期にも対応しやすい場合があります。

ただし、施術後に痛みが強まったり、体調に変化が出ることもあるため、初回は様子を見ながら行うことが重要です。

また、施術者が肩関節の病態や回復時期を理解しているかを確認することも大切です。

病院との併用やタイミングについては、主治医に相談してから取り入れるようにしましょう。

再発を防ぐための習慣づくり

肩甲骨まわりを安定させる・胸を動かす

四十肩の再発を防ぐには、肩関節だけでなく「肩甲骨」や「胸郭」の柔軟性と安定性を維持することが重要です。

肩甲骨が固まっていると肩の動きが制限され、代償的に肩関節に負担が集中しやすくなります。

また、デスクワークなどで胸を丸めた姿勢が続くと、胸部の筋肉が硬くなり、肩の可動域が狭まります。

日常的に肩甲骨を寄せる動作や、胸を開くストレッチを取り入れることで、肩まわりの柔軟性とバランスを保つことができます。

結果的に、肩関節の負担を軽減し、再発予防につながります。

デスクワーク向けの毎週ルーティン

長時間のデスクワークは肩こりや可動域の低下を招きやすいため、毎週のルーティンを設けて対策を講じることが効果的です。

たとえば、週に2〜3回は「机すべり」や「壁歩き」などの軽い肩の可動域訓練を行いましょう。

また、1日5分でもよいので、肩甲骨を動かすストレッチや、タオルを使った胸開き体操を取り入れるのもおすすめです。

日常の姿勢にも注意し、30〜60分ごとに軽く立ち上がって肩を回す習慣をつけると、血流が改善され筋緊張の蓄積を防げます。

短時間でも継続的に行うことが、再発を遠ざける鍵になります。

季節の冷え対策と日常のひと工夫

寒い季節は肩まわりの筋肉が冷えて硬くなりやすく、痛みや炎症のリスクが高まります。

外出時にはマフラーやカイロで肩を冷やさないようにし、室内では温度・湿度を適切に保つことが重要です。

就寝時には、肩口を覆う肩あてや、タオルを重ねて保温するなどの工夫が効果的です。

また、寒い朝はストレッチやラジオ体操などで体を温めてから動き始めると、急激な負担を避けることができます。

日々の小さな工夫が、肩の健康を長く保つための積み重ねになります。

無理なく続くメンテのコツ

再発予防のためのケアは「無理なく、続けられること」が何よりも大切です。

難しい運動や長時間のエクササイズは継続が難しく、途中で挫折しやすくなります。

まずは1分〜3分でできる動作を選び、生活の中に組み込んでみましょう。

たとえば、歯磨きのついでに肩を回す、テレビのCM中に壁歩きをするなど、行動とセットにすることで習慣化しやすくなります。

「できたことを記録する」「週末だけまとめて行う」など、自分に合ったペースで無理なく続けていくことが、肩の健康を守る近道です。

今日から使えるチェックリスト

あると助かる道具

四十肩の対処やセルフケアには、身近な道具を活用することで、痛みの軽減や動作の補助がしやすくなります。

たとえば、就寝時には「抱き枕」や「フェイスタオル」があると、腕の位置を安定させやすくなります。

温め用には「電子レンジ加熱タイプのホットパック」や「湯たんぽ」、冷却には「保冷ジェルシート」などが便利です。

軽い可動域訓練には「滑りやすい布(机すべり用)」「タオル」「ゴムバンド」なども役立ちます。

これらは特別な器具ではなく、家庭内にあるもので代用できる場合も多いため、まずは自宅にあるものから活用してみましょう。

就寝前の自己チェック

夜間痛を防ぐためには、就寝前に「今日の肩の状態」を確認する習慣を取り入れることが有効です。

たとえば、以下のような点をチェックしてみましょう:

・今日、肩に負担のかかる動作をしたか

・痛みが出た時間帯や状況はあったか

・痛みの強さ(10点中いくつか)

・どの姿勢が楽だったか/痛かったか

・寝る前に温めるか、冷やすか、どちらが心地よさそうか

こうした自己チェックを行うことで、翌日以降のケア方針が立てやすくなり、無理のない対処ができるようになります。

受診前にまとめておく情報(症状の流れ・薬・持病)

病院を受診する際には、これまでの症状の経過やセルフケアの内容を整理しておくと、スムーズに診察が進みます。

メモしておくべき情報には次のような項目があります:

・痛みが始まった時期と経過(良くなっているか、悪化しているか)

・痛みが強い時間帯(夜間・動作時など)

・セルフケアや服薬の内容(市販薬の種類・使用頻度)

・持病(糖尿病、甲状腺疾患など)がある場合は、現在の治療内容も記録しておきましょう。

こうした情報は診断の手がかりとなり、必要な検査や治療方針を立てる上で役立ちます。

まとめ

夜になると肩の痛みが増すのは、日中の疲れや姿勢の影響、血流の変化などが重なって起きるものです。

温め方や寝る前の整え方、ベッド周りの工夫を取り入れることで、夜間痛のつらさは少しずつ軽くしていけます。

また、昼間の姿勢や動き方を見直すことも、夜の痛みを防ぐ大きな手助けになります。

無理のないケアを続けながら、自分の状態を把握し、必要なときには医療の力も頼ってください。

今日からできる小さな対処が、肩の負担をやわらげ、安心した毎日につながっていきます。